高齢者によくみられる症状や病気(5):残尿感
みなさま、こんにちは。
今日のタイトルは「残尿感」です。
残尿感という言葉は聞き慣れないかも知れません。おしっこを出したばかりなのに、まだ膀胱におしっこが残っている感じがすることを「残尿感」といいます。
残尿感は大きく分けて2つのタイプに分類されます。
① 膀胱内に尿が残っているタイプ
おしっこを出したにもかかわらず、おしっこを出し切れずに膀胱の中に尿が残っている
② 膀胱内に尿が残っていないタイプ
おしっこを出し切って膀胱の中に尿は残っていないにもかかわらず、膀胱の中にあたかも尿が残っているように感じる
膀胱内に尿が残っているタイプは、前立腺肥大のように尿を出す通り道が狭くなっている(通過障害)場合と、膀胱の筋肉がうまく収縮できずに尿を完全に排出することができない(膀胱収縮障害)場合があります。膀胱収縮障害は脳卒中や糖尿病などの病気で神経が障害された時や、交通事故などで脊髄損傷になった時など膀胱の筋肉を収縮する神経が障害された時に起こります。
膀胱内に尿が残っていないタイプは、あたかも尿が残っているように感じてしまう「知覚異常」が原因です。代表的な例として、女性がお腹を冷やしたり、おしっこに行くのを我慢しすぎて膀胱炎になった時にあらわれる症状の1つがこのタイプの残尿感です。また、膀胱炎などの炎症がなくても残尿感が症状として出てくることもあります。第2回「頻尿」の時に紹介した過活動膀胱も残尿感の症状が出ることが多いです。
そのほか、はっきりした病気がなくても更年期症状としてあらわれることもあります。
おしっこをすることを心配したり不安に思って考え過ぎることで、残尿感や頻尿といった症状がひどくなることがありますので、あまり気にしすぎないように心がけましょう。