高齢者によくみられる症状や病気(4):血尿
みなさま、こんにちは。
今日のタイトルは「血尿」です。血尿とは、おしっこに血が混ざることをいいます。
目で見ておしっこに血が混ざっていなければ大丈夫と思うかも知れませんが、肉眼では分からなくても顕微鏡でみて血が混ざっていれば血尿です。目で見て分かる血尿を「肉眼的血尿」、肉眼では分からず顕微鏡で見て分かる血尿を「顕微鏡的血尿」といいます。血尿はおしっこの中に赤血球が多く含まれるほど赤くなり、逆に赤血球が少ないと肉眼では血尿と気付くことはできません。
血尿の種類
血尿といっても、①おしっこの最初だけ血が混ざるのか、②最初から最後までずっと血が混じるのか、③最後の方だけ血が混ざるのか、さまざまなタイプがあります。①~③のどのタイプの血尿になるかは、血がどこから出ているのかによって分かれます。
① を初期血尿といいます。主に尿道口付近などの出血の際にみられます。
② を全血尿といいます。主に、腎臓、尿管、膀胱などから出血している際にみられます。
③ を終末時血尿といいます。主に、膀胱の出口(膀胱頚部)から前立腺付近の尿道(前立腺部尿道)から出血している際にみられます。
つまり、①~③のどのタイプの血尿かが分かれば、おおよその出血部位が推定できるわけです。
血尿の原因
血尿の原因はさまざまです。悪性疾患だけでなく良性疾患でも血尿になります。
主な原因となる疾患を下記にあげます。
①悪性疾患で血尿をきたすもの:膀胱癌、尿管癌、腎盂癌、腎癌、前立腺癌など
②良性疾患で血尿をきたすもの:結石、膀胱炎、腎盂腎炎、糸球体腎炎、交通事故による膀胱損傷や尿道損傷など
まとめ
血尿といっても目で見えるもの、目でみえないものがあり、出血している部位によって、尿への血の混ざり方が異なってくることがわかったと思います。血尿の原因もさまざまです。
検診や人間ドックで顕微鏡的血尿を指摘されたからといって、必ずしも深刻な病気を抱えているわけではなく、むしろ検査をしても経過観察となることが多いです。ただし、肉眼的血尿以外に痛みなどの症状がないからといって放置していると実は膀胱癌だったということを診療の現場で何度も経験してきました。
安心するためにも、早めに検査を受けることをおすすめいたします。