高齢者によくみられる症状や病気(2):頻尿
<高齢者によくみられる症状や病気> 第2回「頻尿」
みなさま、こんにちは。
第1回では頻尿の中でも特に夜間に生じる「夜間頻尿」について説明させていただきました。
しかし、頻尿は夜間だけに起こるとは限らないですよね。
日中、頻尿で悩まされている方も多くいらっしゃることと思います。
今回は一般的に「頻尿」と言われているものについて理解を深めていきたいと思います。
頻尿とは?
第1回の時に「頻尿」とは『朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の時に「頻尿」と言います』とお伝えしました。
しかし、1日の排尿回数には個人差があり、頻回に御手洗いへ行く人もいれば、日中に数回しか御手洗いへ行かない人もおります。従って、厳密に「頻尿」を定義することは難しく、起きている時に排尿回数が8回以下の人でもその人自身にとって排尿回数が多いと感じるならば「頻尿」といえます。
どうして頻尿になるのか?
頻尿になる原因として以下のものが挙げられます。
1. 過活動膀胱
2. 残尿
3. 多尿
4. 尿路の感染・炎症
5. 尿路の結石
6. 膀胱腫瘍
7. 心因性
それでは、頻尿の原因を1つ1つみてまいりましょう。
1. 過活動膀胱
「過活動膀胱」という病気をご存知でしょうか?
近年、この病気に罹っている人が増加しているので聞いたことがある人もいらっしゃると思います。
「過活動膀胱」とは膀胱に尿が十分溜まっていないにもかかわらず尿意をもよおしてしまう病気です。膀胱の筋肉が自分の意思とは関係なく収縮してしまうことが原因で、症状が重い人だと尿をもらしてしまうこともあります。加齢、ストレス、脳の病気、神経の病気、泌尿器の病気など様々な原因が考えられますので、「御手洗いに行ったばかりなのに、すぐにまた排尿したくなる」という人は泌尿器科を受診することをおすすめいたします。
2. 残尿
「残尿」とは排尿した後にもかかわらず膀胱の中に尿が残ってしまうことをいいます。残尿が多いほど膀胱が尿ですぐに充満してしまい、頻回に御手洗へ行くことになります。
原因としては、①男性の場合、前立腺肥大などで尿が排出しにくくなること、②糖尿病、椎間板ヘルニア、骨盤臓器の手術などによる神経障害、などが挙げられます。
3. 多尿
「多尿」とは1日の尿量が非常に多くなった場合をいいます。具体的には1日に3リットル以上の尿が出るようであれば多尿です。原因としては、水分の多量摂取、利尿剤などの薬剤服用、糖尿病、尿崩症(尿を調節するホルモンの障害)などがあります。
4. 尿路の感染
尿路とはおしっこの流道(腎盂、尿管、膀胱、尿道)をさします。膀胱炎や前立腺炎になると、膀胱の神経が刺激されて頻尿になります。
5. 尿路の結石
腎結石、尿管結石で痛い思いを経験した人もいらっしゃると思います。
結石が膀胱内にあると膀胱粘膜が刺激されて頻尿になることがあります。
6. 膀胱腫瘍
膀胱腫瘍は血尿になることはあっても頻尿になることは少ないのですが、まれに頻尿になることがあるので注意が必要です。
7. 心因性
尿路に異常が無いにもかかわらず、トイレのことが気になってしまい御手洗いに何回も行ってしまう状態です。心因性頻尿の場合、夜に就寝してしまえばトイレを気にすることは無くなるので夜間頻尿になることはあまりありません。
いかかでしたでしょうか?
頻尿といっても昼間の頻尿、夜間の頻尿があり、頻尿となる原因もさまざまです。
自分が他人よりも頻尿であると感じたならば、一度、泌尿器科を受診して相談されることをおすすめいたします。