高齢者によくみられる症状や病気(10):サルコペニア
今回は「サルコペニア」について解説したいと思います。
サルコペニアという言葉は実は造語です。ギリシャ語で「サルコ」は筋肉を意味し、「ペニア」は喪失を意味します。加齢とともに筋肉量が減少してくることをサルコペニアという造語で表しました。
サルコペニアとフレイルの違い
前回、「フレイル」を紹介しました。
フレイルとサルコペニアはどう違うのかというと、サルコペニアは加齢とともに筋肉量が減少し、筋力が低下していくいわゆる老化現象のことですが、フレイルは身体機能の低下だけでなく認知機能の低下など加齢とともに予備能力の低下がみられる状態のことをいいます。サルコペニアがフレイルの引き金になることもあります。
加齢とともに外出するのが面倒になって自宅にばかりいるとサルコペニアになる危険性があります。また、食欲が低下し、タンパク質の摂取量が減ると筋肉を作れなくなるので、やはりサルコペニアになる危険性があります。
サルコペニアになっているかどうかをチェックするテストが幾つかありますので、一つだけ紹介いたします。
指輪っかテスト
指輪っかテストはとても簡単で自分自身でチェックすることができます。
自分の利き足のふくらはぎで一番太いところを両手でつかみます。つかみ方ですが、右手と左手の親指同士、人差し指同士をくっつけるように自分の利き足のふくらはぎを左右からつかんでください。
ふくらはぎを左右の親指と人差し指をくっつけた状態でつかめない人はサルコペニアの心配は殆どしなくてよいでしょう。しかし、自分の利き足のふくらはぎの一番太いところを左右の親指と人差し指をくっつけた状態でつかむことができて、しかも左右の親指と人差し指でつくった輪っかとふくらはぎの間にすきまができるようであれば、サルコペニアの可能性が高くなります。
サルコペニアの予防・改善には食事と運動がとても大切な要素となります。指輪っかテストで自分のふくらはぎを余裕をもってつかむことができた人は、かかりつけ医か近くの医院で是非相談してみてください。