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認知症の両親との同居生活体験記

認知症の両親との同居生活体験記(9):父の転倒事故


認知症とのかかわり方について、自分自身の「認知症の両親との同居生活体験記」を交えながらブログを書いてまいります。

認知症の両親との同居生活体験記(9):父の転倒事故

両親と同居してからというもの、毎年、新年に両親を連れて初詣に出かけておりました。同居当初は両親ともに杖もつかずに、あまり長くない距離であれば独りで歩くことができましたが、徐々に、両親ともに足腰が弱くなり、杖をついて歩くようになりました。

ある年の新年、両親ともに杖をつけば独りで歩けていたので、両親と一緒に歩いて初詣に出かけました。道路のところどころに段差があったので、両親を転倒させてはいけないと思い、段差の近くに来たら両親に声かけをして注意を促し、鳥居の近くまで歩いてきました。

「さあ、鳥居をくぐろう」と思い、わずか数秒、両親の前へと歩を進めた時、背後に妙な違和感を感じて振り返りました。振り返った時には、父が両手を気をつけの状態のまま道路に倒れこんでいくところで、顔面から転倒してしまいました。父のメガネは壊れ、鼻血を出し、顔面が切れて出血してしまいました。幸い、メガネは壊れても目に損傷はなく、骨折もしておらず、大事に至らずに済みました。かなり出血していたので、通常なら救急車を呼ぶところですが、私自身が医師でしたのでその場で父の全身チェックをして止血など応急処置をして事なきを得ました。

私がちょっと目を離してしまったことで、父を転倒させてしまいました。

健康な人であれば気にならない段差でも、父にとっては「段差は段差」であり、たとえ数ミリの段差であってもつまずいて転倒する危険があったのです。認知症にかぎらず、高齢になって身体機能や判断能力が衰えてくると受け身をとることは出来なくなります。父も手を出して受け身をとることができず、両手は腰の位置につけたままで顔面から転倒してしまいました。

高齢者、特に認知症となった方と外を歩く際は、こまめに声かけをして、わずか数ミリの差でも段差になることを忘れずに寄り添ってあげてください。


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