認知症の両親との同居生活体験記(8):ビタミンB12が不足すると認知症になる?!
認知症とのかかわり方について、自分自身の「認知症の両親との同居生活体験記」を交えながらブログを書いてまいります。
認知症の両親との同居生活体験記(8)ビタミンB12が不足すると認知症になる?!
ビタミンB12とは?
みなさま、ビタミンB12というものをご存知でしょうか?
ビタミンB12は肉類、魚介類、海藻類などに多く含まれているビタミンの一種であり、普通に食事をしていれば不足することはありませんが、食事バランスが極端に崩れてしまうと不足することがあります。
ビタミンB12が不足するとどのような症状があらわれる?
ビタミンB12が不足すると下記のような症状があらわれてきます。人によってあらわれる症状はさまざまです。
① 立ちくらみなどの貧血症状
② 思考力・注意力の低下
③ 手足のしびれ、身体に力が入らない
④ 記憶障害
⑤ 妄想、幻覚
これらの症状が出てきたら、すぐに医師に相談するようにしてください。
認知症は昔は進行してくると元の状態に回復することはないと認識されておりましたが、早期に治療することで回復可能なものもあります。
ビタミンB12欠乏による認知症はビタミンB12を補充することで治療は可能です。
ビタミンB12欠乏に関する私の苦い医師体験を紹介します。
進行癌で入院治療を行っている患者さんがおりました。入院当初は普通に会話できておりましたが、徐々に意味不明なことを言い出し、不穏な状態になりました。脳に転移したのではないか、体の電解質バランスが崩れたのではないか、薬の副作用ではないかと、あらゆる検査をしたのですが、不穏になった原因をつかめずにおりました。いよいよ困り果てて、「可能性はないと思うがビタミンB12を念のため測定しよう」と思って血液検査をしたら、なんとビタミンB12が低値であり、ビタミンB12が欠乏していることが判明しました。
これまで、ビタミン不足によって体に症状が出てくることは知識として理解していましたが、まさかビタミンB12が不足するだけで、患者さんがここまでひどい不穏状態になるとは思ってもいなかったのです。
この患者さんはビタミンB12を投与することで不穏状態が改善して、元通りの状態に回復しました。
それ以降、反省して認知症の症状がある患者さんに対しては、「ビタミンB12が不足していないか」を常に念頭に置くようになりました。
おかげさまで、その後、不穏状態に陥った患者さんの原因がビタミンB12欠乏であったことを2度も早期に発見することができて、患者さんの苦しみをいち早く取り除くことができました。
現代においてビタミン不足になることはないのでは?と思うかも知れませんが、極端な偏食をしたり、高齢になって食欲がなくなり十分な食事摂取が出来ていないなど、ビタミンが不足してしまう環境は十分に考えられますので、バランス良く食事をとることを心がけてください。