認知症の両親との同居生活体験記(7):出来ないことが増えていく父について
認知症とのかかわり方について、自分自身の「認知症の両親との同居生活体験記」を交えながらブログを書いてまいります。
認知症の両親との同居生活体験記(7):出来ないことが増えていく父について
第5回のブログで父の変化のはじまりについて書きました。そして第6回のブログで「出来ないこと」より「出来ること」に目を向けることが肝要であることを書きました。今回は、父の認知症が進むに連れて私がどのような対応をしてしまったのかを書こうと思います。
父は徐々に「あ~、しんどい」「面倒くさい」と呟くようになりました。今まで喉が渇けば父自身で冷蔵庫から飲み物を取り出してコップに入れて飲んでいましたが、徐々に「喉が渇いたなぁ」と周りにいる私や母に聞こえるように呟くようになりました。それを聞いた母は「何か飲みたいのなら自分で飲んできなさいよ」と答えていました。
また、今までティッシュなどのゴミは父自身で燃えるゴミ用のゴミ箱に捨てに行っておりましたが、徐々に鼻をかんだティッシュを見ては「これはどうするんやったかなぁ」とやはり周りにいる私や母に聞こえるように呟くようになりました。私は「どうって、ゴミ箱に捨てればいいじゃない」と父に言っておりました。
当初、私は「本当は分かっているのに、何をするにも面倒くさくなってきたのかなぁ」と思っておりました。しかし、父は本当にどうしていいかが分からなくなっていたのです。私はそれになかなか気付いてあげることが出来ませんでした。
その後、父は「よう分からん」「どうするの?」と口癖のように言うようになりました。私は「父が今まで当たり前に出来ていたことを、そんなに急に出来なくなるはずがない」と思い続けてしまいました。今、振り返れば、父は急に出来なくなったわけではなく、徐々に出来なくなってきたことに私が気付いてあげることが出来なかっただけでした。
私の中に「何でも出来る父」という前提があったことで、父が出来なくなったことばかりに目がいってしまいました。そして、父を見ながら「そんなはずはない」と自分自身に言い聞かせていました。どうしていいのか分からなかった父はとても不安な気持ちになったことと思います。
今では認知症の父に接する時は、「認知症なのに○○も出来る」というように「父が出来ること」に意識を向けるようにしております。出来ることを褒めた時に父が笑顔を見せてくれることを、とてもありがたく感じています。