認知症の両親との同居生活体験記(2):認知症の症状とは?①中核症状
認知症とのかかわり方について、自分自身の「認知症の両親との同居生活体験記」を交えながらブログを書いてまいります。
第2回では、認知症の症状をみてまいりましょう。
認知症の症状とは?
ご家族や知り合いに認知症の方がいらっしゃれば、認知症の時にどのような症状があらわれるかも、ある程度経験なさったことと思います。しかし、みなに同じ症状が出るとはかぎりません。
認知症の症状には大きく分けて次の2つがあります。
(1) 中核症状
(2) 周辺症状
「中核症状」とは、認知症と診断された人にはすべてあらわれる症状です。
「周辺症状」とは、その人の性格、育った環境、人間関係などに影響されてあらわれる個人差のある症状です。
今回は「中核症状」について説明してまいります。
中核症状とは?
認知症の人すべてにあらわれる症状と言いましたが、原因は脳の神経細胞の働きが低下することによって引き起こされます。脳の細胞が壊れると、その細胞が担っていた機能が低下します。
具体的には大きく5つに分類することができます。
① 記憶障害
② 見当識障害
③ 理解判断力の障害
④ 実行機能障害
⑤ 失認、失語、失行
それでは中核症状を1つ1つみてまいりましょう。
① 記憶障害
日常生活に支障をきたすレベルの物忘れです。昔のことは覚えていても、最近のことは忘れがちになります。そして、記憶を丸ごと忘れてしまいます。例えば、朝食を食べた場合、物忘れの人は朝食で食べた物を忘れますが、認知症の人は「朝食を食べた」ということ自体を忘れてしまいます。
② 見当識障害
今日が何月何日何曜日なのか、そして自分が今何処にいるのか、などが分からなくなります。認知症が進むと、自分の家族の顔も分からなくなります。
③ 理解判断力の障害
1つ1つの動作をするための時間がかかるようになります。寝る時にどの服に着替えればよいか、燃えるゴミを燃えるゴミ専用のゴミ箱に捨てるなど、判断を下すことが難しくなります。
④ 実行機能障害
計画的に行動をすることが難しくなります。特に複数の行動を効率よく行うことが出来なくなります。具体的には、ご飯とおかずなど複数のものを一緒に料理できなくなります。買い物に出かけても同じ物ばかり買ってしまい、冷蔵庫が同じ物でいっぱいになるといったこともあります。
⑤ 失認、失語、失行
失認とは、視覚、聴覚などの感覚に問題がなくても、テレビを見ても自分が何を見ているのか分からないなど、目の前の状況が分からなくなる症状です。失語とは、言葉をうまく使えなくなったり、相手の言葉の意味を理解できなくなる症状です。失行とは、今まで当たり前のように出来ていた行動が出来なくなることです。身体機能に異常が無くても、服のボタンがとめられなくなったり、お箸を上手く使えなくなる症状です。
以上、中核症状を5つに分類して説明してまいりました。
中核症状は早かれ遅かれ、認知症の人なら誰しもがあらわれる症状です。認知症の人の理解を深めるためにも、認知症の症状を正しく理解することが大切です。