認知症の両親との同居生活体験記(11):入浴中におぼれそうになった母
認知症とのかかわり方について、自分自身の「認知症の両親との同居生活体験記」を交えながらブログを書いてまいります。
認知症の両親との同居生活体験記(11)入浴中におぼれそうになった母
現在、父は要介護度3、母は要介護度2ですが、実際にはもう少し介護度が進んでしまっているような状況です。
認知症になってもしばらくの間は、父も母も自分自身で体を洗って普通に入浴することができましたが、今では両親ともに介助が無ければ入浴することは出来なくなってしまいました。
母がまだ自分で何とか入浴することが出来た頃、家族一緒に夕食を食べた後に母が「お風呂に入ってくるね」と私に言いました。私は「分かった。気を付けてね」と母に言って、2階に上がりました。
しばらくして、何だか静かすぎる雰囲気に違和感を覚えました。これまで母の入浴中に声をかけたことはありませんでしたが、虫の知らせなのか異様に嫌な予感がして、1階に降りていき、お風呂のドア越しに「お母さん、変わりない?大丈夫?」と母に声をかけました。しかし、母からは何の返答もありません。
「ドアをちょっと開けるよ」と言って私がドアを開けたとき、意識を失っている母がバスタブに沈んでいっているところでした。慌てて、バスタブに沈んだ母の頭を水上にあげて呼吸ができるようにしました。大きな声で母を何度も呼ぶと、意識をやや取り戻した母が朦朧としながら言葉にならない声を出しました。
何とかバスタブから母を抱き上げてリビングへ連れていこうとしましたが、小柄な母とはいえ、意識が朦朧としている人間をバスタブから出してリビングへと連れていくことは至難の業でした。キッチンで座っていた父に助けを何度も求めましたが、父も認知症であり、父から返ったきた言葉は「お父さんも、しんどい」でした。父自身もどうしていいか分からなく、自分自身のことで精一杯だったのだと思います。
もし、虫の知らせが無ければ、そして私がもう少し1階へと降りる時間が遅ければ、母がどうなっていたことか・・・と考えるだけでもゾッとします。
この日以降、母が入浴する時は必ず傍で見守りをするようになりました。
今では週の半分はショートステイに行っておりますので、自宅で入浴することはやめて、ショートステイ先で入浴介助をしてもらっております。
認知症にかぎらず高齢になってくると急な温度変化に体がうまく対応できなくなってきますし、血圧の調節機能も低下してきます。高齢者の入浴には転倒事故を含めて本当に注意が必要です。